「固定電話はなくなるらしい」。会社の電話設備の更新時期が近づくと、そんな話を聞いて不安になることがあります。ビジネスフォンの主装置をこのまま入れ替えるだけでよいのか、回線も変えたほうがよいのか。通信に詳しくない立場では、どこから確認すればよいか分かりにくいところです。

総務省が2026年8月28日に公表した統計が対象としているのは、電話の存廃ではありません。会社や家庭までつながる通信設備のうち、従来の電話線であるメタル回線の割合が下がり、光ファイバーの割合が上がっているという変化です。

主装置の更新を控えている会社にとって、この数字は回線と電話設備を同じタイミングで確認する材料になります。

この記事でわかること

  • 総務省の「加入者回線」の統計が何を数えた数字なのか
  • メタル回線25.6%、光ファイバー62.7%が示す設備側の変化
  • ビジネスフォンの主装置を更新する前に回線とあわせて確認したいこと

まず知っておきたい「加入者回線」の意味

今回の統計が数えているのは「加入者回線」です。これは、電話線や光ファイバーなど、通信事業者が設置した回線のうち、一端が利用者側の設備につながっているものを指します。

ここで注意したいのは、契約者数や利用者数を数えた統計ではないことです。集計の対象は、建物に引き込まれた回線の数です。令和7年度末の加入者回線全体の設置数は、約4,942万回線でした。

たとえるなら、建物まで伸びている「通信の通り道」が何本あるかを数える調査に近いものです。利用者の人数を数えているわけではありません。1人が何回電話したか、何人で電話を使っているかといった利用実態を示す数字でもありません。

この統計から読み取れるのは、固定通信を支える設備が、どの種類の回線で成り立っているかという変化です。

メタル回線は25.6%、光は62.7%

従来の電話線に使われてきた二線式の回線を「メタル回線」と呼びます。令和7年度末、このメタル回線が加入者回線全体に占める割合は25.6%でした。前年度末の28.3%から低下しています。

一方、光ファイバー回線の割合は62.7%で、前年度末から2.5ポイント上昇しました。

全国に設置されている加入者回線を見ると、メタル回線はおよそ4分の1、光ファイバーは6割を超える状態です。メタル回線の減少は毎年続いており、従来の電話線を前提にした設備は、その土台となる回線の割合が縮小している流れの中にあります。

事業者別の数字にも、この変化が表れています。メタル回線はNTT東日本・西日本が92.4%を占めています。その一方で、加入者回線全体に占めるNTT東西のシェアは69.0%から68.6%へ低下しました。総務省の集計では、その主因として、NTT東西がほぼ独占するメタル回線の割合が減ったことが示されています。

光ファイバー回線でもNTT東西のシェアは72.1%から71.7%へ低下しています。電力系事業者や地域系CATV事業者などによる光ファイバー設置の影響とされています。

設備側の数字を見る限り、固定通信の基盤では、メタル回線から光ファイバーへの交代が進んでいると整理できます。

この統計だけで自社の電話は判断できない

ただし、25.6%という数字をそのまま自社の電話設備に当てはめることはできません。

今回の統計には、法人と個人の内訳がありません。会社で使われている回線だけを取り出した数字でもありません。また、回線数は契約数や利用者数と異なるため、「4社に1社がメタル回線を使っている」と読むこともできません。

地域差もあります。NTT東西の加入者回線シェアが50%を下回ったのは三重県49.3%、奈良県49.4%で、兵庫県50.4%、愛知県52.6%、大阪府53.4%など50%台の地域もあります。全国平均だけで、特定地域や特定企業の回線状況を決めつけることはできません。

この統計から把握できるのは、全国の設備側で起きている変化です。自社が現在どの回線を使い、その回線を前提にどのような電話設備を置いているかは、個別に確認する必要があります。なお、契約数の側から固定電話の中身を整理した記事として固定電話4,698万の75.6%は0ABJ-IP電話もあります。あわせて読むと、設備と契約の両面から変化を確認できます。

主装置更新の前に回線も一緒に確認する

ビジネスフォンの「主装置」は、社内の複数の電話機と外部の電話回線をつなぐ中心機器です。主装置の更新を考えるときは、機器の入れ替えと回線の見直しを同じ場で整理しておくと判断しやすくなります。主装置の寿命と更新時期で扱ったとおり、更新のタイミングは数年に一度しか来ません。

確認したいのは、まず現在使っている回線がメタル回線なのか、光ファイバーなのかという点です。次に、更新後の主装置をどの回線と組み合わせる前提で考えるのかを整理します。そして、主装置の更新時期と回線の見直し時期を別々に決めてよいのかも確認します。光回線を使う電話の選択肢はひかり電話オフィスタイプとはで解説しています。

総務省の統計だけで、「今すぐ光へ変更すべき」とまでは言えません。一方、メタル回線の割合が25.6%まで低下し、光ファイバーが62.7%まで増えていることは、設備更新時に回線を確認する理由になります。

主装置の更新を検討する段階で、「いま何を使っているか」「次も同じ前提でよいか」を並べて確認しておけば、電話システム全体の更新方針を整理しやすくなります。

まとめ

「固定電話はなくなるのか」と考えると、話が大きくなりすぎます。総務省が2026年8月28日に公表した設備統計から分かるのは、固定通信を支える加入者回線のうち、メタル回線の割合が28.3%から25.6%へ下がり、光ファイバーが62.7%へ上がったという変化です。

ただし、これは建物に引き込まれた回線の設置数を集計した数字で、契約数や利用者数、法人だけの利用状況を示したものではありません。自社の電話をどうするかは、この数字だけでは決められません。

それでも、主装置の更新時期が近い会社にとっては、回線の種類を確認するよい機会です。現在の回線、更新後の主装置、今後の回線の選び方をまとめて確認し、電話設備全体として更新方針を整理しておくとよいでしょう。自社の外線構成を踏まえたご相談はお問い合わせからどうぞ。

出典