電話システムの見直しでは、「クラウドPBXにするか、社内に置くか」という方式の話に目が向きがちです。けれども実際に移行を進めると、方式と同じくらい今の電話番号をどう残すかが問題になります。

この記事では、電話システムの3つの方式(クラウドPBX・お客様専用環境・オンプレミス型)と、今の0ABJ番号を残すための接続方式を合わせて整理します。最後に、約90拠点の地方金融機関で番号を変えずに移行した事例を紹介します。

この記事でわかること

  • 電話システムの移行でよく出てくる課題
  • クラウドPBX・お客様専用環境・オンプレミス型の違いと向き不向き
  • 今の0ABJ番号を残す2つの方法(データセンター側のゲートウェイ/拠点に置くゲートウェイ機器)
  • 多拠点の番号を変えずに移行した事例

電話システムの移行で出てくる課題

テレワーク、拠点の統廃合、ほかのシステムとの連携やAIの活用などをきっかけに、電話システムを見直す会社が増えています。一方で、移行を具体的に考え始めると、次のような課題が出てきます。

  • クラウドPBXを使いたいが、セキュリティや運用上の理由で、他社と共用する環境は使えない
  • クラウドPBXは月額課金が基本なので、利用者が増えるほど費用がかさむ
  • 自社専用の環境でPBXを運用したい
  • 03や06などで始まる今の固定電話番号(0ABJ番号)を変えずに移行したい
  • クラウド化したいが、今の電話回線やネットワークとどうつなぐのか分からない

方式や回線構成を最初から一つに決めてしまうと、こうした課題に合う選択肢を見落とすことがあります。方式と番号の残し方は、セットで検討するのがおすすめです。

3つの方式と、それぞれが向く会社

クラウドPBX:場所を選ばない電話環境

クラウドPBXは、PBXの機能をクラウド上で使う方式です。オフィスだけでなく、複数の拠点や在宅勤務でも同じ電話環境を使えます。

  • 拠点間の電話環境をそろえたい
  • 移転や拠点の増減に合わせて柔軟に変えたい
  • 電話設備を持つこと・管理することの負担を減らしたい
  • 外出先や在宅でも会社の電話を使いたい

使える機能、接続方式、今の番号を残せるかどうかは、サービスと回線の条件によって変わります。導入前に、必要な機能と利用条件を確かめておきましょう。

お客様専用環境:個別の要件に合わせて構築する

クラウドPBXを検討していても、他社と共用するサービスでは要件を満たせないことがあります。たとえば、セキュリティポリシー、ほかのシステムとの連携、運用管理上の理由で、専用の環境が求められるケースです。

このような場合は、PBXをお客様専用の環境に構築する方式があります。既製のクラウドサービスをそのまま使うのではなく、必要な構成と運用条件を確認しながら設計します。

専用環境では、PBXのある環境と各拠点の間を、インターネットにそのまま流すのではなく、VPNで暗号化したトンネルでつなぐ構成もとれます。IP電話機やスマートフォンの内線アプリも、VPN経由で接続できます。

※ 専用環境の提供形態、構成、費用は、要件を確認したうえで個別にご案内します。

オンプレミス型:自社の設備で運用する

次のような会社には、PBXを社内に置くオンプレミス型が向いています。

  • 今の社内ネットワークや電話設備を活かしたい
  • クラウドへの全面移行が難しい
  • 自社の管理方針に合わせて設備を構成したい
  • クラウドと今の設備を組み合わせて、段階的に移行したい
  • 月額の利用料をできるだけ抑えたい
  • セキュリティ上、電話も社内のシステムで運用したい

クラウド化がどの会社にとっても最適とは限りません。導入後の運用や管理まで見据えて、自社に合う方式を選ぶことが大切です。

3つの方式の比較

比較項目クラウドPBXお客様専用環境オンプレミス型
主な特徴クラウド上のPBX機能を使う専用の環境で個別要件に対応する自社側に電話設備を構築する
PBXを置く場所事業者のクラウド環境専用のクラウド環境など自社の拠点など
構成の自由度サービスの仕様の範囲要件に応じて設計機器・構成に応じて設計
設備の管理主に事業者契約で決める運用分担による自社と保守事業者の分担による
向いているケース複数拠点、柔軟な働き方専用環境や個別要件を重視今の設備や自社管理を重視

※ 一般的な比較です。実際の提供条件や管理範囲は、採用する構成によって変わります。

費用・セキュリティ・緊急通報など観点ごとの比較は、クラウドPBXとオンプレ型IP-PBXの比較まとめ にまとめています。

今の0ABJ番号を残す2つの方法

代表番号や営業窓口の番号は、名刺・Webサイト・印刷物・取引先の登録に広く残っています。番号が変わると、それらをすべて直す必要があります。電話システムを入れ替えるときは、今の番号を残せるかどうかを最初に確かめておきたいところです。

フォースネットでは、番号を残すための接続方式を2つ提供しています。

方法1:データセンター側の回線接続ゲートウェイ(VoiceLine 回線)

VoiceLine 回線 は、全国の0ABJ番号を、番号そのままにPBXへつなぐ回線サービスです。当社のデータセンターで回線接続ゲートウェイを運用し、通信キャリアの回線とPBXを接続します。拠点に回線を引き込む必要がないため、次のようなケースに向いています。

  • 代表番号を残したまま、電話システムをクラウド化したい
  • 番号が変わることによる取引先への影響を抑えたい
  • 全国に支店・工場などの拠点があり、電話回線の契約を集約したい

方法2:拠点に置くゲートウェイ機器(vBOX)で回線を直接収容する

もう一つは、各拠点に引き込んでいる通信キャリアの回線を、拠点に置いたゲートウェイ機器で直接収容する方法です。当社の自社開発VoIPゲートウェイ「vBOX」は、約10年の提供実績があり、現在も全国の数百拠点で稼働しています。

今の回線契約をそのまま使いながら、PBXだけをクラウドや専用環境へ移したいときに有効です。拠点の回線を活かせるので、移行を段階的に進めやすくなります。

どちらの方法でも、事前に条件を確かめる

番号を残せるかどうかは、PBXの機能だけでは決まりません。現在の回線契約、番号の種類、利用地域、接続方式、ゲートウェイや機器の仕様をあわせて確認する必要があります。番号の継続で確認する点は、電話番号はそのまま使える?PBX入れ替え前に確認すること で詳しく解説しています。

事例:約90拠点の地方金融機関で、番号を変えずにPBXをクラウドへ集約

お客様:特定の地域に約90拠点を展開する地方金融機関

導入前の課題

  • 拠点ごとにビジネスフォンがあり、保守期間の終了に伴って機器の入れ替えが必要だった
  • 各拠点の電話番号は変えられなかった
  • 平日だけでなく土日に営業する拠点もあり、切り替え作業は日曜や夜間に限られた

当社の対応

  • お客様が選定したPBXをクラウド環境に置き、1つに集約する構成にした
  • 今の番号を残すため、全拠点に回線を直接収容するゲートウェイ機器(vBOX)を設置した
  • 営業に影響しないよう、日曜・夜間の作業で約1年かけて全拠点を順に移行した

導入後の効果

  • PBXをクラウド上の1つに集約したことで、拠点ごとに機器を持つ場合と比べて設備の費用負担が大きく下がった
  • 拠点間の通話が内線になり、拠点間の通話料がかからなくなった
  • 番号が変わらなかったため、印刷物や案内の差し替えをせずに移行できた

※ 効果はこのお客様での結果です。費用や通話料の変化は、拠点数・回線契約・通話量によって変わります。

フォースネットが提案できる選択肢

電話システムの事業者によっては、特定のクラウドサービスや機器を前提に提案することがあります。当社は方式と回線の接続方法を組み合わせて検討できるため、お客様の今の設備・番号・運用・今後の拡張計画に合わせて構成を選べます。

  • クラウドPBX:VoiceLine PBX クラウド版
  • お客様専用環境への構築:要件に応じて個別に設計
  • オンプレミス型:VoiceLine PBX(社内設置のIP-PBX。買い切り)
  • データセンター側の回線接続ゲートウェイ:VoiceLine 回線
  • 拠点に置く回線収容ゲートウェイ:vBOX

ネットワークやインフラ、セキュリティ対策もあわせてご相談いただけます。自社のサービスとしてクラウドPBXや電話システムを提供したい事業者様は、販売代理店・OEMのご案内 をご覧ください。

まとめ

  • 電話システムの移行では、方式(クラウドPBX・お客様専用環境・オンプレミス型)と、今の番号の残し方をセットで考えます
  • 共用のクラウドPBXで要件を満たせない場合は、専用環境への構築やVPN接続という選択肢があります
  • 今の0ABJ番号は、データセンター側のゲートウェイ(VoiceLine 回線)か、拠点に置くゲートウェイ機器(vBOX)で残す方法があります
  • 可否は回線契約・番号の種類・利用地域・接続方式で変わるため、事前の確認が欠かせません

「今の番号のままクラウド化できるか」「専用環境でPBXを構築できるか」「今の回線や設備を活かせるか」など、構成が決まっていない段階でもご相談いただけます。現在の回線の種類と電話設備の構成をお知らせいただくと、より具体的にご案内できます。お問い合わせ からお気軽にご連絡ください。