事務所を開いたばかりの会社や、新しく拠点を出した会社では、固定電話の回線を引かずに、電話転送サービスで「03」などの固定電話番号を持つことがあります。かかってきた電話は社員の携帯電話に転送され、名刺やWebサイトには固定電話番号を載せられます。
この電話転送サービスの契約で、事業者が行う本人確認の方法が、2027年4月1日から変わります。総務省は2026年9月24日、これに合わせて電気通信番号計画を変更する案を公表し、意見募集を始めました(10月26日まで)。
この記事でわかること
- 2027年4月1日から、何が変わるのか
- 変わるのは、だれの手続きなのか
- 固定電話番号を転送サービスで持っている会社が、いま確かめておきたいこと
- 番号の持ち方を見直すときに考えること
2027年4月1日から変わること
変更のもとになっているのは、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)の施行規則の改正です。総務省の報道資料によると、この改正により、2027年4月1日から、電話転送サービス事業者を含む「特定事業者」が行う、顧客の本人特定事項の確認方法が見直されます。
主な見直しは次の2つです。
- 個人の顧客で、対面しない取引の場合。 事業者が用意したソフトウェアで本人確認書類を撮影して画像を送る方法と、本人確認書類の写しを送る方法は、なりすましなどのリスクから、原則として廃止される。ICチップの付いた本人確認書類を持っていない人のために、偽造を防ぐ措置がとられた書類に限って、原本を送るなどの方法は引き続き認められる
- 法人の顧客の場合。 本人確認書類の原本またはその写しを送る方法のうち、写しの利用は原則として不可となり、原本に限られる
これに合わせて、電気通信番号計画でも、電話転送サービス(発信または着信の転送で、利用者の番号として固定電話番号を使う場合に限る)を提供する際の本人確認の規定を変える、というのが今回の意見募集の内容です。総務省は、寄せられた意見を踏まえて速やかに番号計画を変更する予定としています。
変わるのは「転送サービスを契約するとき」の手続き
今回の見直しの対象は、電話転送サービス事業者が、契約の相手を確認する方法です。会社が自分で設置している電話設備や、社内の電話機の設定に、新しい義務がかかる話ではありません。
会社の側で影響を受けるのは、固定電話番号を使う電話転送サービスを、2027年4月以降に契約するときです。たとえば、次のような場面が考えられます。
- 新しい拠点や事業のために、転送サービスで番号を追加する
- 別の転送サービス事業者に乗り換える
- 契約の名義を、個人から会社に切り替える
法人として書類を送って確認を受ける場合、本人確認書類の写しを送る方法は原則として使えず、原本を送ることになります。手続きに必要な書類と日数は事業者ごとに異なるため、具体的な方法は契約先に確かめる必要があります。すでに結んでいる契約がどう扱われるかも、今回の報道資料には書かれていません。
いま確かめておきたいこと
固定電話番号を転送サービスで使っている会社は、次のことを確かめておくと、2027年4月以降の手続きで慌てずにすみます。
- 会社の代表番号や拠点の番号が、どの契約で持っている番号か。 自社で引いた回線(ひかり電話など)の番号か、転送サービス事業者から提供を受けている番号か
- 契約の名義はだれか。 立ち上げのときに代表者個人の名義で契約し、そのままになっていないか
- 2027年4月以降に、番号を増やす予定や、事業者を変える予定があるか。 あれば、原本の準備と手続きの日数を見込んでおく
- 解約したり事業者を変えたりしたとき、その番号を使い続けられるか。 名刺やWebサイトに載せている番号ほど、ここは契約先に確かめておきたい点です
最後の点は、今回の制度の見直しとは別の話ですが、番号の持ち方を確かめるときにあわせて見ておく価値があります。番号を変えずに電話設備を入れ替える条件は、電話番号はそのまま使える?PBX入れ替え前に確認することで整理しています。
番号の持ち方を見直すとき
転送サービスは、回線工事なしで固定電話番号を持てる手軽さが利点です。一方で、社員が増え、代表電話への着信を何人かで分けて受けたい、営業時間外は自動の案内に切り替えたい、といった使い方が出てくると、転送だけでは足りなくなることがあります。
そうした段階では、番号を自社で契約した回線で持ち、着信の振り分けや携帯電話への転送を社内の電話設備(PBX)で行う、という構成も選択肢になります。ただし、回線の契約にも、通信事業者による契約時の確認があります。転送サービスからPBXに移れば手続きが無くなる、ということではありません。違いは、着信をだれに、どの順番で、どの時間帯につなぐかを、自社で決めて変えられるかどうかです。代表番号の着信の分け方は代表電話の鳴り分けとは?で、時間外の切り替えは営業時間外の自動アナウンスを設定するメリットで紹介しています。
社内に置くIP-PBXの VoiceLine PBX は、代表電話・内線・保留・転送に加えて、担当者が不在のときに外線を社用の携帯電話へ転送する機能や、営業時間に合わせて案内と転送を自動で切り替える機能を備えています(機能一覧)。現在は先行導入のご相談を受け付けている段階です。携帯への転送の可否は構成によって異なるため、導入前に確認します。
まとめ
- 犯罪収益移転防止法の施行規則の改正で、2027年4月1日から、電話転送サービス事業者などが行う本人確認の方法が見直される
- 個人の非対面の取引では、書類の画像を送る方法と写しを送る方法が原則として廃止され、法人では書類を送る場合に写しが原則使えず原本に限られる
- 総務省はこれに合わせて電気通信番号計画を変更する案を2026年9月24日に公表し、10月26日まで意見を募集している
- 影響を受けるのは、固定電話番号を使う転送サービスを2027年4月以降に契約するときの手続き
- いまのうちに、番号をどの契約で持っているか、名義、今後の追加や乗り換えの予定、解約時の番号の扱いを確かめておく
番号の持ち方や、着信の受け方を整理しておきたい場合は、PBX導入前チェックリストやお問い合わせもご利用ください。
出典
- 総務省 報道資料「電気通信番号計画の一部を変更する告示案に対する意見募集」2026年9月24日公表 報道資料